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外貌醜状とは?
交通事故で負った怪我により、頭や顔など人目に付きやすい場所に傷跡が残った状態のことを「外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)」といいます。
この外貌醜状は、痛みや関節の運動障害を伴わなくても、一定の大きさがあれば交通事故による後遺障害として認められる場合があります。
後遺障害として認められた場合の等級は、部位や程度に応じて異なり、「外貌に著しい醜状を残すもの」が7級、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」が9級、「外貌に醜状を残すもの」が12級とされています。
例えば、顔に鶏卵大面以上の瘢痕が残った場合「著しい醜状を残すもの」として7級が認められ、顔に5センチメートル以上の線状痕が残った場合「相当程度の醜状」として9級が認められるとされています。
また、腕や手、脚など上肢下肢の露出面に手のひらの大きさの瘢痕等が残った場合は、14級が認められるとされています。
こういった後遺障害が認められた場合、加害者に対して後遺障害慰謝料や逸失利益を請求していくことになります。
後遺障害慰謝料は、将来にわたって後遺障害を負ったまま生活していかなければならないことにより生じる精神的損害を補償するものですが、外貌醜状による後遺障害の場合も請求することができます。
慰謝料の金額については目安となる基準があり、7級の場合で1000万円、9級の場合で690万円、12級の場合で290万円、14級の場合で110万円とされています。
これに対して逸失利益に関しては、そもそも外貌醜状の場合に逸失利益が認められるのか、認められるとしてその計算方法は他の後遺障害と同じように算定してよいのかという問題があります。なぜなら、逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより働いて収入を得る能力(労働能力)が低下し、それによって生じる将来の収入減少のことをいいますが、外貌醜状そのものには痛みや運動障害が伴わないことも多く、後遺障害として認められても労働能力が低下したとはいえないと考えられる場合もあるからです。
この点は、保険会社との示談交渉や裁判でもよく問題になるところですが、基本的な考え方としては、被害者の性別、年齢、職業、後遺障害の内容や程度等を考慮して、外貌醜状の存在により労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれがあるか否かを具体的に検討すべきと考えられます。
その結果として外貌醜状による逸失利益が認められないケースもありますが、そのような場合でも、労働能力への影響の程度(労働能力喪失率)を低く想定して逸失利益の金額を調整したり、逸失利益を認めない代わりに後遺障害慰謝料を増額する形で解決を図ることも考えられます。
外貌醜状の問題に限らず、交通事故による損害について適正な賠償を受けるためには専門的な知識、判断が必要になります。
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