日頃、なんのトラブルもなく生活している方でも、ある日突然、加害者にも、被害者にもなってしまうのが、交通事故の怖いところです。
加害者になってしまったときは、過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)などの刑事罰を受ける可能性があると同時に、民事法上、被害者に損害賠償(人身、物損)をする義務を負います。
この時、強制保険である自賠責保険からは、原則として、被害者死亡の場合3000万円、傷害の場合120万円までしか支払われません。しかし、実際の被害者に生じた損害額は、これを大きく上回ることが多々あります。自賠責保険しか加入していなければ、この額を上回る部分は、全て自費で賠償しなければなりませんが、任意保険(対人:無制限)に加入していれば、保険でまかなわれます。
したがって、自動車を運転する機会がある方は、自分のためにも、被害者のためにも、任意保険に加入することを強くお勧めいたします。
次に、運悪く被害者になってしまったとき、「相手方が任意保険に入っていたので、すべて安心。」…となれば良いのですが、そうとは限りません。
特に、怪我をしてしまった場合、「治療費はいつまで支払ってくれるのか」、「保険会社に提示された慰謝料の額は妥当なのか」、「お医者さんから、『治療してもこれ以上良くならない』と言われたが、この後遺症については賠償してもらえないのか」、「過失相殺と言われて、大幅に賠償額を減らされてしまったが、よく意味が分からない」…、等々、心配事は尽きません。
こんな時、「専門家に相談したい。できれば、保険会社との今後の交渉もお願いしたい。でも、費用が心配で…。」という方も多いようです。
さて、皆さんがご自身で加入されている任意保険の保険証書をご覧ください。ここに、「弁護士費用特約あり」と記載されている方は、交通事故に関するトラブルが生じた場合、弁護士への相談費用、依頼費用などを、保険会社から支払ってもらえる可能性があります(どのような場合に支払ってもらえるのか、いくらまで支払ってもらえるのか、などは、各保険会社で異なりますから、保険約款を見るか、保険会社へ電話するなどして確認する必要があります。)。
交通事故に遭ってしまった場合、想像以上に、様々な不安が募るものです。「備えあれば憂いなし」という言葉もあります。現在、弁護士費用特約をつけていない方は、更新時に検討してみてはいかがでしょうか。
また、交通事故に備えて、車にドライブレコーダーを設置することをお勧めします。ドライブレコーダーの映像があれば、過失割合で揉めることが少なくなります。
「弁護士費用特約をつけていないうちに交通事故に遭ってしまった」という方も、現在、当事務所では、初回相談を無料で行っております。交通事故関係でお困りの場合、お気軽に当事務所にご相談ください。
執筆者:弁護士法人山下江法律事務所 弁護士 吉村 航 (山口県弁護士会所属)