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交通事故の種類と自動車保険、受ける処罰について

山下江法律事務所


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 だれもが被害者となり、また加害者となる可能性のある交通事故には、主に2つの種類があります。それが、「物損事故」と「人身事故」です。それぞれの違いと自動車保険での扱い方、そして受ける処罰について解説していきます。

まずは基本、物損事故と人身事故について

 まずは、「物損事故と人身事故の基本的な違い」について解説していきます。

・物損事故とは

 物損事故とは、「ガードレールにぶつかった」「車止めに車をぶつけた」などのような状況を指します。人への被害がなく、物への被害にとどまる事故のことをいいます。
 詳しくは後述しますが、基本的には刑事処分や行政処分が科せられることはありません。
 ただし物損事故を起こした場合も、警察に通報する方がよいでしょう。

・人身事故とは

 人身事故とは、人的な被害が発生した事故をいいます。わかりやすい例として、「車を運転していたら、人をはねてしまった」「前に停まっている車に追突し、相手をむちうちにしてしまった」などのような状況をいいます。
 物損事故とは異なり、実際に人の心身にダメージを与えます。また、重大な後遺症をもたらす結果となってしまったり、最悪の場合には命を奪ったりする結果になることもあるため、物損事故よりも重く裁かれます。

使える保険の違い

 車を持っている人は全員、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険。以下は略語である「自賠責保険」に記述を統一)に加入しています。また、そのほとんど(4人に3人)が任意保険に加入しています。
 しかし保険は、「どんな事故でも使える」というものではありません。「どんな事故だったか」によって、使える保険が変わってくるのです。

・物損事故~自賠責保険は使えない

 物損事故と人身事故における「保険の違い」でもっとも大きいのは、「物損事故では自賠責保険は使えない」という点です。
 自賠責保険とはもともと、「交通事故の被害者となった人が、最低限であっても補償を受けられるように」という考えのもと作られた保険です。このため、「物」の被害にすぎない物損事故では、自賠責保険は使えません。

 たとえば、「車を運転中に運転を誤り、人の家の塀を壊してしまって30万円の修理金を要求された」という場合であっても、自賠責保険は使えません。これは軽微な例をとりあげていますが、大きな事故になった場合、請求額が1億円を超えるケースもあります。自賠責保険にしか入っていないケースだと、原則としてこの支払い義務を加害者側がすべて負うことになります。

 このような状況をカバーするために、「任意保険」があります。
 任意保険では「対物賠償責任保険」が設けられており、物損事故であっても補償の対象となるようになっています。上限は保険内容によって異なりますが、万が一のことを考えて、「無制限」にしておく方が安全です。
 また実際に多くの人が、「対物賠償責任保険の上限額を無制限にする」という選択肢を選んでいます。

・人身事故~どのような保険に入っているかで補償も異なる

 人身事故の場合は、「自分がどのような保険に入っているか」によって補償が異なります。
 自賠責保険のみしか入っていない場合、被害者側に支払われる金額の上限額が明確に決まっています。傷害の場合は120万円、死亡の場合は3000万円です。これは、「これ以上の損害があったと認められた場合であっても、自賠責保険にしか加入していなければ支払い義務を免れる」というわけではもちろんありません。上限額をオーバーした場合、当然加害者が自分自身でその支払いをしなければなりません。
 また、自賠責保険はあくまで被害者を保護するためのものです。「自分に100パーセントの過失があるが、車と車の事故だったため、自分もけがをした」という場合、自賠責保険は相手のけがについては補償しますが加害者側のけがに関しては補償しません。

 対して任意保険の場合は、被害者への補償額がずっと大きくなります。契約によって異なりますが、ほとんどの任意保険は、「対人補償は無制限」としているでしょう。そのため、相手を死亡させてしまったり重い後遺症をもたらしてしまったりした場合でも、任意保険がカバーしてくれます。
 また、加害者側となったときの補償項目を設けている任意保険の特約をつけると、「自分が加害者であり、かつけがをした」という場合でも保険を使えるようになります。

 任意保険にはさまざまな項目があり、それぞれ内容が異なります。
 加入段階でよく調べましょう。

受ける処分の違い

 物損事故と人身事故では、受ける処分も異なります。

・物損事故では原則として点数の加点は行われない

 警察に届け出ることで警察が事故として処理してくれるため、任意保険が使えるようになります。そのため物損事故であっても、警察に届けるのが原則です。

 物損事故の場合、基本的には行政上の責任や刑事責任が問われることはありません。
 ただし、当て逃げや、ほかの道交法違反が認められればこれによって加点されることはあります。

・人身事故では、「行政上の責任」「刑事責任」「民事責任」の3つを負う

 対して人身事故の場合は、

  • 行政上の責任
  • 刑事責任
  • 民事責任

が科せられます。

 行政上の責任において加点が行われ、程度がひどい場合は免許の取り消しなどが行われます。
 刑事責任においては自動車運転過失致死傷罪などが問われる可能性があり、懲役刑が科せられたり罰金刑が科せられたりすることもあります。
 また民事責任においては、被害者が受けた損害に対して損害賠償金などを支払う義務が生じます。

 このように、物損事故と人身事故では明確に処分も処理も使える保険も変わってくるのです。

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