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交通事故で免停に…どのようなケースが該当する?

山下江法律事務所

 交通事故を起こした場合、状況によっては免許停止(※「免停」とも。以下では特に解説が必要な場合を除き、「免停」と記す)の行政処分が下されます。ここでは、「免停」と免停以外の処分・罰則について解説していきます。

免停とは何か

 まず、「免停とは何か」について見ていきましょう。

・免停とは免許が停止になること

 免停とは、「免許停止」を意味する言葉です。免許停止とは、文字通り、「免許を停止する処分」をいいます。

 日本では自動二輪や自動車、またバスなどを運転するには免許が必要です。運転免許証は多くの人が持っているため、しばしば意識することを忘れてしまいますが、これらの移動手段は容易に人をけがさせたり死なせてしまったりすることができてしまうものです。そのため、運転の規則を守らずに運転していた場合、ペナルティとして免停の処分が科せられることがあります。

 ここでは「交通事故による免停」を取り上げましたが、免停になる条件はひとつではありません。たとえば、比較的軽微な違反(交通事故が起きていないスピード違反など)でも、回数が重なれば免停となります。免停となった場合は定められた期間、車を運転してはいけませんし、仮に免停期間中に運転をした場合は「無免許運転」とされて免許取り消し(※後述します)の処分を受けます。

・免許停止期間と点数の具体例

 免停期間は、違反点数によって3つの段階があります。

 違反点数が
6点~8点の場合……30日間
9~11点……60日間
12~14点……90日間
 なお15点以上の場合は、「免許取り消し」となります。

 上記は、あくまで「今まで1度も免停などの処分を受けたことのない人の場合の停止期間」です。過去に1度以上の免停処分を受けていれば、もっと少ない回数で、もっと長期間の免停処分が下されます。たとえば過去に4回以上の免停処分などの処分を受けていた場合、累計点数が2点となった時点で150日間の免停期間が、3点で180日間の免停期間が科せられることになります。

 ちなみに参考までに記しますと、スピード違反は1点(1~14キロオーバー)~12点(50キロ以上オーバー)です。また、一時停止無視の場合は原則として2点が加算されます。ただし一旦停止無視の場合は、過去2年間以上無事故無違反であり、かつ一時停止無視で捕まった後3か月間にわたって無事故無違反を維持できれば、この2点は累積しません。

・免停と講習

 ただし、免停の処分を受けても、講習を受けることで免停期間を短くすることができます。

 たとえば30日間の停止処分を受けた場合、講習を受けると、その期間はわずか1日に短縮されます。また180日の処分であっても、講習を受けると80日以下に短縮されます。そのため特段の事情がない限りは、講習を受けたほうがよいでしょう。ただし、受講態度や成績が悪かった場合は、期間の短縮が認められない場合もあります。

免停と免許取り消しの違い

 免停と免許取り消しは、「運転ができなくなる」という点では一緒ですが、その性質はまったく異なります。

 免停の場合は一定期間が過ぎれば、また運転ができるようになります。しかし、免許取り消しの場合は文字通り「免許が取り消し」になるため、また免許を取り直さなければなりません。この場合、免許の再取得ができない欠落期間の経過後に,

  • 取り消し処分違反者講習(13時間)を受けたうえで
  • 一発試験(難易度が高い)あるいは自動車教習所に通って再度免許を取り直す

必要があります。

 また非常に大きいペナルティとして、一度免許取り消しの処分を受けた場合、最短でも1年間、最長の場合は10年間の欠落期間が発生します。この欠落期間中は、免許の再取得自体ができません。軽微な違反の積み重ねであり、かつ前歴がない場合は欠落期間が短く、内容が悪質であり、かつ前歴がある場合は欠落期間が長くなります。なお、まったく前歴がない人の場合であっても、累計点数が15点になった段階で免許取り消し(1年間)、3回以上の前歴がある人の場合は4点で免許取り消し処分に処されます。

 免許取り消しは行政処分の中でもっとも重いものであり、免許取り消しの処分がなされる前に、公安委員会から「意見の聴取通知書」が届きます。この手続きで「免許取り消しには相当しない」とされた場合は、免停で済む場合もあります。

 なお厳罰化が進んでいる酒気帯び・酒酔い運転は、呼気1リットルあたりのアルコールが0.15ミリグラム~0.25ミリグラムの場合は13点、それ以上の場合は25点、また酒酔い運転(飲んだ量に関わらず、正常な運転ができないと判断される状態)の場合は35点が加算されます。

 したがって、まったく前歴のない人であっても、0.25ミリグラム以上の酒気帯び運転あるいは酒酔い運転の場合は一発で免許取り消しです。前歴が2回以上で、かつ酒酔い運転で捕まった場合は、ほかの違反がなくても、欠落期間5年の免許取り消し処分を受けることになります。

行政処分(免停・免許取り消し等) 以外の責任について

 交通事故で科せられる処分は、免停・免許取り消しだけではありません。それ以外にも、加害者が負う責任があります。

・刑事責任

 人身事故を起こした場合で、刑事事件として立件された場合に刑罰が科せられることがあります。罰金刑だけでなく、懲役刑が科せられることもあります。たとえば近年厳罰化が進んでいる危険運転致死傷罪などがその代表例です。

・民事責任

 交通事故の被害者が受けた被害については加害者が損害賠償する責任を負います。これは民法の不法行為責任などに基づくものです。

 交通事故は、被害者の人生だけではなく加害者の人生をも大きく変えてしまうものです。ハンドルを握る以上、交通事故の可能性をゼロにすることはできませんが、

  • 自分が自制すれば絶対に起きない飲酒運転やあおり運転などを行わない
  • 交通事故が起きたときに、速やかにけが人の救護にあたる
  • 速やかに警察に連絡をし、被害者に対して真摯に向き合う

などによって、交通事故の被害を少なくしたり、重い処分が下される可能性を少なくしたりできます。そしてこのような対応は、加害者自身だけでなく、被害者を救済するためにも役立ちます。

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