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交通事故にあってしまった……休業損害は請求できる?

 交通事故にあってしまった場合、仕事を休むことを余儀なくされることがあります。このときに、休業していることの補償として休業損害を加害者に請求することができます。ここでは、休業損害の意味と、休業損害と労災の関係性についてみていきます。

休業損害とは、損害賠償の項目のひとつ

 交通事故は、だれもが被害者となる可能性のあるものであり、また加害者となる可能性もあるものです。
 では交通事故によってけがをした場合、被害者はどのようにフォローされるのでしょうか?
 交通事故の損害賠償についてはいろいろな項目がありますが、その中の1つに、「休業損害」があります。

休業損害とはどんなもの?

 休業損害とは、「消極損害」として扱われるものです(「積極損害」として、けがの治療費などがあります)。
 交通事故の際の受傷が原因で仕事を休んだ場合に生じる収入の減少をいいます。

 交通事故によって働けなくなった場合、その補償は加害者側に請求することになります。
 (※ただし、「交通事故によってけがをしたが、本人と周りの特段の努力によって実際には減収が生じなかった」という場合でも休業損害が認められたことがあります。そのため、「減収をしていない限りは認められない」という性質のものでもありません)。

 なおここでは、特に記載しない限りは、「交通事故の被害者の立場」として解説していきます。

加害者が保険に加入していれば通常は保険によって支払われる

 日本では、車やバイクを所有している人間には全員「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」への加入が義務付けられています。

 しかし多くの人は、これ以外にも、「任意保険」に入っています。全体の4人に3人がこの任意保険に入っており、多くの交通事故ではこの任意保険のスタッフを通じて話し合いが行われ、また任意保険によって支払いが行われます。任意保険の場合は、人的損害のみを補償する自賠責保険とは異なり、対物賠償もついていることが一般的です。

 加害者が任意保険に入っていない場合は、被害者側は当然加害者に休業損害を求めることができます。

休業補償と休業損害~二重取りはできない(損益相殺)

 労災から休業補償を受け取った場合、休業損害から差し引かれる休業損害の額は後述する計算式により計算されます。
 これを加害者に請求していくことになります。
 ただ、通勤中に起きた負傷や死亡などは、労災保険の対象となるため、被害者が労災から休業補償を受けることがあります。
 この休業補償は、休業損害として支払われる趣旨です。そうすると、受け取った休業補償の金額をさらに加害者に対して請求することは二重取りになってしまい、不合理ですから認められません。

 被害者は、事故を理由としてなんらかの利益を得た場合(ここでは休業補償)、損害賠償からその金額が差し引かれます。この考え方を、「損益相殺」といいます。つまり休業補償を受けた場合は、休業損害からその金額を引いたものを受け取ることになります。

休業損害の計算式

休業損害の内訳は?

 休業損害の算定は、事故前の収入日額に休業期間を乗じて算定するのが通常です。
 ここで、収入日額については、
①事故前3か月間の収入の合計を実働日数で割ったもの
②事故前3か月間の収入の合計を実働日数で割ったものを90日で割ったもの
とする考えがあります。

 たとえば、事故前の3か月間の月給の合計が120万円だったとしましょう。そして、3か月間の実働日数が66日、休日を含まず実際に休んだ日数を55日だったとします。

 この場合、
①・・・120万円÷66日=18182円 これに55日をかけるので休業損害額は100万円となります。
②・・・120万円÷90日=13333円 これに55日をかけるので休業損害額は73.3万円となります。

 ②の方が少なくなるわけですから、保険会社は②の主張で通そうとします。しかし弁護士が交渉することで、①の方法で算出することで合意できる場合もあります。

被害者の職業や収入によって変わる

 ここまでは給与所得者の休業損害について解説してきました。
 では、事業所得者や専業主婦(主夫)の場合はどうなるのでしょうか。

 事業所得者の場合、「実際に収入が減った場合に、休業損害であると認められる」としています。なお休業中でも固定費の支払いや従業員への支払いなどが必要な場合は、事業を存続させるための出費であるため、これも休業損害となります。
 なお、自営業の場合の休業損害は、「前年の収入」を基に算出されます。ただし、個々の例では、申告所得を超える収入を認めたケースもありますから、必要に応じて弁護士に相談するようにするとよいでしょう。

 なお、専業主婦(主夫)にも休業損害が認められます。
 賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎として、受傷のために家事労働に従事できなかった期間について認められます。
 なお兼業主婦(主夫)の場合にも、上記の考え方が適用されます。パートの実収入についての減額分よりも上記の賃金センサスにより計算された休業損害の方が高ければ、この額を休業損害と考えることができます。
これは、「兼業主婦(主夫)として働いているのに、収入が低いからという理由で、専業主婦(主夫)よりも補償額が下なのはおかしい」という考えに基づくものです。

 なお、「主夫」でも「主婦」でも算出の計算式は変わりません。

 このように、交通事故により収入が減少するなどした場合は、休業損害を加害者に請求することができます。相手の出してきた算出金額に納得がいかない場合は、弁護士事務所に相談をしてみてください。

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