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交通事故の「むちうち」の難しさを、被害者側と加害者側の立場から

 交通事故に遭った際には、さまざまなけがを負う可能性があります。そのなかでももっとも多いのが「むちうち」だと言われていますが、同時にこの「むちうち」は非常に扱いが難しいものでもあります。

 今回は、この「交通事故で起きるむちうち」に注目して解説をしていきます。

「むちうち」とは何か~交通事故でのむちうちの扱いが難しいことの理由も解説

 「むちうち」という言葉は広く知られていますが、これは正式な名称ではありません。正式な名称は、「外傷性頸部症候群」「頸椎捻挫」「頸部挫傷」といいます。
 首に強い衝撃が加わることで起きるものであり、交通事故のほか、運動をしている最中などに起こることもあります。
 首が回らなくなったり、頭痛に悩まれたり、強い倦怠感に襲われたり、吐き気に見舞われたり……といった、多種多様な症状が出てくることのあるものです。また、首だけではなく、その痛みや異常がほかの箇所に出てくる場合もあります。

 むちうちの非常にやっかいなところは、「交通事故が起きた瞬間に痛みを感じるとは限らない」という点にあります。もちろん交通事故直後に痛みや異常が出てくることもありますが、半日程度経ってから症状が現れることも珍しくありません。人によっては、交通事故から2日以上経過してから症状が出てくることもあります。

 加えて、むちうちは見た目では変化がわからないものでもあります。「骨折した」「血が出ている」などとは違い、見た目には変化がなく、実際に痛みを感じているにもかかわらず,レントゲンやMRIで撮影しても異常が見られない場合もあります。

 加えてむちうちは、「症状の固定」がはかりにくいものでもあります。医療費は症状が固定されるまで(つまりは、「これ以上治療を続けたとしても、もう改善は見られない」と判断されるまで)あるいは完治するまで支払われ続けます。しかしむちうちの場合、加害者側の保険会社から、「3か月も経ったのだから症状固定とし、示談交渉のテーブルについてください」などと掛け合われる場合も多いのが問題点です。

被害者側になった場合はとにかく早く病院に! 今は痛くなくても後で痛みが出る場合も

 このような問題点の対策として、

1.とにかく必ず病院に行くこと
2.人身事故として処理すること
3.安易に加害者側の要求に応じないこと

の3つを守る必要があります。

1.とにかく必ず病院に行くこと

 交通事故が起きた場合は、必ず病院に行くようにしてください。上でも述べたように、むちうちの場合は、交通事故が起きた直後は痛みがなくても後で出てくる可能性もあります。レントゲン撮影やMRI検査を受けて、今の状態を把握するようにしてください。
 なお整骨院ではレントゲン撮影などはできません。このため整骨院に行って治療を始めた場合、後でトラブルになりやすいので必ず「病院」に行くようにします。
 「時間を置いてから痛みが出てきたので病院に行った」などの場合は、むちうちだとされても交通事故との因果関係が証明できなくなる可能性があります。こうなると治療費の支払いも突っぱねられることになりかねません。必ず交通事故に遭ったらすぐに病院に行くようにしてください。

2.人身事故として処理すること

 物損事故で処理をしてしまうと、医療費などが支払われないおそれが生じます。またむちうちで仕事を休んだ場合も、その間の補償が認められない恐れも生じます。後遺症を抱えることになった場合でも損害が認められない場合もありますので、必ず人身事故として処理をするようにしてください。加害者側が警察を呼ぶことをためらった場合でも、必ず警察を呼びましょう。

3.安易に加害者側の要求に応じないこと

 「症状の固定」は、保険会社が決められるものではありません。医師の診断によって初めてわかるものです。「3か月経ったから症状が固定したはず、示談のテーブルについてください」などのように保険会社から要請されても応じる義務があるわけではありません。
 このような交渉が持ち掛けられた場合は軽々に応じず、まずは医師に相談して症状固定の段階にあるか確認してください。

加害者側の立場に立ったときの対応~脅迫に近いことをされた場合はどうすればいいのか 

 むちうちは「見た目がわかりにくいもの」でもあります。
 そのため、「本当は痛みがなくなったにも関わらず、通院期間を長引かせて賠償金を受け取る」などのような手口を使う人間もいます。
 また、「物損事故として処理をしたが、相手が『後になって痛みが出てきた。お金を支払え』と言われた」などのようなケースもありえます。

 このようなことを防ぐためにできることを考えましょう。
 数か月を経過しても痛みが続く可能性はあります。しかしそれが偽りであった場合、「過剰診療である」と裁判所が判断する場合もあります。なお裁判に至った場合は、その治療が必要でありかつ適当なものであったことを立証する義務は被害者側に科せられます。被害者側が「今も痛い」といつまでもごね続ければ際限なく支払いに応じなければならなくなる、というものではないことも覚えておきましょう。

 また、交通事故を起こしたのならば必ず警察に連絡をし、被害者に病院に行くことを強く勧めてください。警察や病院は中立の立場ですから、これを間に挟むことによってトラブルが起きる確率を大きく下げることができます。「警察を呼ぶこと」「被害者を病院に行かせること」は、被害者を守ることであると同時に、加害者を守ることにもつながるのです。
 なお執拗な金銭の要求があったり、支払わなければ危害を加えると言われたりした場合は、警察に相談することをおすすめします。

 むちうちは、交通事故が起きたときに非常に患いやすいものです。しかし同時に、非常にトラブルが起きやすいけがでもあります。自分が被害者側になったときも、また自分が加害者側になったときも、しかるべき機関にきちんと相談をし、事態の解決に努める必要があります。

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