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高次脳機能障害を負う……交通事故の痛ましい被害とその補償

 交通事故は、今までの生活を一変させてしまう可能性のあるものです。
 けがは軽かったけれど受験ができなくなってしまったというケースもあれば、重い障害を負うこともあります、また、最悪のケースでは命を失ってしまうこともあるでしょう。

 ただ、ある意味では命を失うよりも大変かもしれない……といわれていることに、「重い後遺症が残る」というものもあります。
 今回はそんな後遺症のなかから、「高次機能障害」を取り上げます。

高次脳機能障害を患った場合、今後の生活にも影響が出る

 高次機能障害とは、脳に受けた損傷によって言語・記憶・情緒・注意などに障害が出ることをいいます。
 今回は交通事故で起こったもののみを取り上げますが、脳卒中などの後遺症で高次機能障害が出ることもあります。

 高次機能障害の症状は多岐にわたります。また、「どこの部分が損傷を受けたか」で出てくる症状が異なります。
たとえば前頭葉が損傷した場合は、過度に怒りっぽくなったり著しく集中力を欠いたり、他罰感情が強く出たり……といった、「性格面の変化」が起きやすくなります。
 頭頂葉にダメージがいった場合は、自分のいる場所が分からなくなったり道にまよいやすくなったり、服をきちんと着ることが難しくなったりします。
 それ以外にも、過度に忘れっぽくなったり、識字能力に障害が出たり、人や物の名前が思い出せなくなったりといった症状が出ることもあります。

 高次機能障害は、「外から見てわかる障害」ではありません。また診療室でこの様子が見られなかった場合は、正しく障害を把握することが難しい場合もあります。
 そうであるにも関わらず、「日常生活」に関わる面に大きな影響が出るため、本人や家族を大いに戸惑わせることになります。また日常生活や社会生活が送れなくなるなどの深刻な状況を招きます。

 現在でこそ、高次機能障害となってもリハビリテーションなどである程度回復すると言われていますが、それでも、一度負ってしまった障害が「完全に元に戻る」「高次機能障害になる前の状況に戻す」などはできないといわれています。
 そのため、高次機能障害を患った場合は、高次機能障害と長く付き合っていく必要が出てくるのです。

交通事故で高次脳機能障害を負わされた場合の賠償金の基本

 それまでの生活が一変してしまう高次機能障害を負った場合、どの程度の慰謝料を受け取ることができるのでしょうか。
 それについてみていきましょう。

 一口に「高次機能障害」といっても、その種類はさまざまです。たとえば、「就労できる仕事の範囲に制限は出るが、介護などは必要ない」という比較的軽いもの(9級10号)であれば、自賠責基準で249万円の慰謝料となります。

 対して、「常に介護を必要とする状態であり、神経系統や機能、精神に著しい後遺症を残した(就労もできないし、身の回りの世話も人に頼る状態)」(1級(別表第1))となったときは、慰謝料として自賠責基準で1650万円が支払われることになります。
 ここでは低い金額と高い金額の2つを紹介しましたが、実際にはもっと細分化されています。その人の状態に応じて、支払われる金額は変わってくるのです。自明の理ではありますが、高次機能障害の程度が重ければ重いほど支払われる慰謝料は高く、軽ければ軽いほど支払われる慰謝料は安くなります。

 なおこの等級判断は、

  1. 検査を行い、脳に異常があることを確認できた
  2. はっきりとした言動の変化がみられる
  3. 交通事故直後に意識障害が起きているものであり、「交通事故によって引き起こされた高次機能障害である」と分かるかどうか

が重要になってきます。

 また、ここで紹介しているのは「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険。強制保険とも呼ばれる)」の話です。
詳しい判断はケースバイケースとなりますが、上記の数字がひとつの判断基準となるので押さえておきましょう。

相手の言い分に納得できない、そんな場合は弁護士や警察へ

 多くの人は、上で出された金額を見て「少ない」と感じることでしょう。
 一生涯にわたって続く介護生活や、被害者の人生設計そのものが変わる事故であったのにも関わらず、自賠責基準での高次機能障害の慰謝料はわずか1650万円……ということに、違和感や憤りまで覚える人もいると思われます。
 もっとも,これはあくまでも,自賠責保険によって支払われる慰謝料であり,適正な慰謝料額がこれを超えるのであれば,差額を加害者に請求することができます。

 そんなときに頼りになるのが、「弁護士」です。

 弁護士が代理人となって交渉する場合、「裁判所基準(裁判基準、弁護士基準とも)」になるべく近づけるように交渉を行います。
 裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)とは、「今までの交通事故の判例を元として、慰謝料の額を算出する」というものです。
 この場合、同じ等級の高次機能障害であっても、自賠責基準と比較して慰謝料の額が跳ね上がることになります。弁護士による交渉によって,保険会社の当初の提案額よりも2倍~3倍程度の慰謝料を得られるのも珍しいことではありません。

 たとえば上で挙げた「249万円」の場合は、裁判所基準(裁判基準・弁護士基準)で導き出すと690万円となります。
 1650万円のケースでは2800万円となり、1000万円以上かわってきます。
 もちろん、お金をもらったところで高次機能障害を負う前に時を戻せるわけではありません。お金では償い切れないものでもあります。ただそれでも、「今後の生活の足しにするお金が増えること」は、高次機能障害を負った本人にとっても、また高次機能障害を負った被害者を支える家族にとっても、大きな力となるでしょう。

 高次機能障害が残った場合、その対応に苦しむのは本人だけではありません。周りの人も苦悩していくことになります。この苦悩を完全に取り去ることはできませんが、「さらなる苦悩の原因」となりがちな「金銭的な不安」を負わないで済むように、弁護士などの力を利用してください。

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