目次
交通事故被害における「症状固定」とは?
不幸にして交通事故の被害に遭ってしまった場合、通常は加害者が任意保険に加入していることから、治療費などの損害賠償についての話し合いは、加害者の加入している保険会社の担当者とすることになります。
例えば、自分が赤信号で停車していたときに、後続車が不注意でこれに気がつくのが遅れ、追突されてしまった場合を考えてみます。
追突されてムチウチなどの怪我を負えば、直ちに治療をする必要があります。そしてこの治療費は事故と因果関係のある損害ですので、保険によって支払われることになります。
このまま、怪我が治るまで治療費をずっと保険で支払ってもらえればいいのですが、まだ痛みが残っている状態でも、通常は事故から半年ほどで保険会社の担当者から連絡が来て、そろそろ「症状固定」として治療を終わりにしてほしい、と言われることが多いです。
では、この「症状固定」とはどういう意味でしょうか?
「症状固定」の医学上の意味は、治療を続けても大幅な改善が見込めず、長いスパンで見ると、回復・増悪がなくなった段階のことをいいます。
ただ、より重要なのは「症状固定」の損害賠償上の意味です。
「症状固定」までは、原則として交通事故と因果関係のある損害について、すべて損害賠償の対象となります。しかし、「症状固定」後については、一般に否定的に考えられています。
しかし、後遺障害が残っていて、かつ、損害保険料率算出機構によって等級認定(1級~14級)を受けた場合は、後遺症慰謝料、後遺症による逸失利益について損害賠償を請求することができます。
このように、「症状固定」前後で扱いが大きく異なることになります。そのため、いつの時点を「症状固定」とすべきかについては、慎重に判断する必要があります。
「症状固定」時期についての適切な判断、また、保険会社の担当者との交渉については、困難な面もあり、専門家のアドバイスを受けるべきと思われます。
交通事故の被害に遭い、今後の保険会社との対応などについてお悩みであれば、ぜひ当事務所ご相談ください。